6月からサイボウズで働き始めました

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6月からサイボウズで働き始めました。ただし完全フルタイムではないので、自分の会社と事業は今までと同じように続けます。

仕事内容としては、ノーコードで業務アプリが作れる「kintone」のUIやヘルプの英語翻訳です。

実は2017年に書いた『ソフトウェアグローバリゼーション入門』でサイボウズを取材させてもらい、その頃から同社のローカリゼーションに興味を持っていました。日本のSaaSでグローバル展開しているところは少なく、機会があればkintoneの英語化に関わりたいと思っていたところ、先日、英訳担当を募集していると耳にしました。

そうは言っても、応募するにはいくつかハードルがありそうだと感じました。まず、自分の会社をやっているので、副業可の会社でないといけない。さらにフルタイム採用しかないとなると、自社との両立は難しい。加えて、在宅仕事に慣れた身にとって出社が必要なら厳しい。

そこでサイボウズの社内制度リモートワークのページを見てみると、なんとどれもクリアできそうでした。

  • 複業(サイボウズではこの表記)は原則として自由
  • 勤務時間は「働き方宣言」により選択可能
  • リモートワークは10年以上前から導入

もちろん働く時間や場所を選べると言っても、チームとの調整は必要となります。そのためカジュアル面談をお願いして相談したところ、勤務時間もリモートワークも問題はなさそうだったので、応募することにした次第です。


IT翻訳者の働き方の変化

自分が最初に翻訳業界に入った2002年からすでに20年以上経っており、振り返ってみると翻訳者の働き方にもいろいろと変化はあったのかなと感じます。翻訳者といっても分野によって違いがあるので、ここではソフトウェア分野のIT翻訳者に限定します。

歴史的に見ると、ソフトウェアは当初IT企業(マイクロソフトなど)の内部で翻訳されていたものの、90年代からアウトソーシングされ始め、その結果としてローカリゼーション業界が成立したという話(Esselink氏の論文PDF)です。自分が翻訳者になった2002年頃はまさにこの市場が拡大していた頃でした。外資系ソフトウェアのUI文言やヘルプの英日翻訳がアウトソーシングされ、日本の翻訳会社を経由し、私のようなフリーランス翻訳者に回ってきたわけです。

その後、ソフトウェアの開発プロセスの変化(ウォーターフォールからアジャイルへ)に伴い、翻訳のアウトソーシングにも変化が生まれます。00年代末頃からでしょうか。自分のブログを見返してみると、2010年に書いた記事がいくつかありました(これこれ)。アジャイル開発と翻訳アウトソーシングは相性が悪いため、アジャイル開発に適した翻訳サービスを考えるべきといった話が書いてあります。開発プロセスの変化が翻訳プロセスにも影響するということです。


現在、kintoneの英語翻訳はアジャイル開発に組み込まれており、アウトソーシングではなく社内でやっています。90年代に起こったアウトソーシング化とは逆に、むしろ社内で密にコミュニケーションを取って翻訳を進めることで価値が生み出されるわけです。

外注フリーランスとして翻訳する際に抱く不満の1つに、原文(あるいは製品)に対して影響を与えられない点があります。例えば「こう書いてあれば読者が分かりやすくなるのに…」と思っても、せいぜいコメントを付けて納品するくらいしかできません。kintoneでは英語翻訳者がライターやデザイナーと協働するため文言の品質を高められる機会があり、翻訳者としては楽しみな環境だと期待しています。


ちなみにサイボウズの求人一覧はこちらで、本日(2024-06-09)時点だと、エンジニアに加え、テクニカルライターなどの募集があります。


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