つい先日気づいたが、Appleが公開している英語スタイルガイド「Apple Style Guide」が2022年7月版に更新されていたようだ。
大きな変更点として、障害者に関連する書き方を説明した「Writing about disability」というページが追加された。
興味深いのは「identity-first」(アイデンティティー優先)か「person-first」(人間優先)かの視点がある部分だ。
前者のidentity-firstでは「A deaf person」や「A blind person」のような表現になる。障害がアイデンティティーの一部であると考えている人の場合、こちらの表現を好むことがあるようだ。
一方、後者のperson-firstでは「A person who is deaf」や「A person who is blind or has low vision」のような表現となる。まず人間という点を強調したい人の場合、こちらを好む場合があるらしい。
特定の誰かについて書く場合はその人に尋ねることが望ましいが、尋ねられない場合や一般的なケースでは、person-firstで可であるとしている。そしてページ末尾では、identity-first表現、person-first表現、避ける表現の3点が一覧でまとめられている。一部分だけ下記の画像で引用する。
「Writing about disability」のページ以外はアップル製品の書き方に関する追加や更新がほとんどだが、一般英語としては「man」の項目が追加されていた。
人間全般を指す場合、man(あるいはmanの複合語)は使わないという内容だ。Appleが挙げている例を示す。
- manpowerではなく、staff、workforce
- man hoursではなく、work hours、people hours
- craftsmanshipではなく、artistry、craft
- unmannedではなく、unstaffed
技術英語を書く際であっても、上記のような視点が欠かせない社会に変わっていることを実感する。